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クラーナハ展

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本日は、大阪中之島の国立国際美術館で開催中の「クラーナハ展」を見に行ってきました。
クラーナハの「ユディット」が日本に来るということで、ぶったまげつつもものすごく楽しみにしていた展覧会でした。

クラーナハは、ヨーロッパ近世(日本で言えば江戸時代初期くらい)の画家で、ウィーン出身で、ドイツのザクセンで活躍しました。
この頃のヨーロッパはまさに中世と近世の端境期。
イタリアではルネサンス運動が起こり、ヨーロッパ北部でもクラーナハやデューラーなどが活躍した「北方ルネサンス」と呼ばれた時期でもありました。
また一方で社会的にはウィーンのハプスブルク帝国が、神聖ローマ帝国の母体としてヨーロッパ全土に覇権をとなえる一方で、ドイツのルターらによる宗教改革の動きが活発化した時期でもありました。
クラーナハはこのルターとも親交があり、絵画の面で宗教改革を強力バックアップしたという側面ももっています。

その絵の神髄は・・・カツオ的に言わせていただければ、特に人体、その中でも女体の描写における徹底した写実・リアリティーの追及があげられます。
しかし、だからといって、決して超写実指向の絵でないところがすごいのです。
正確に写しとるだけなら写真でいいのです(当時はないですが)。
しかし彼の写実は、物腰、仕草、そして中でも、描かれている人物の「表情」にとてつもない「ファンタジー」を感じさせる何かがあるのです。

宗教的出来事や伝承をモチーフにした絵が多いのですが、中世以来のステレオタイプでは決してなく、彼なりの解釈と説得力をもって、あまりにも静かにそっけなく、でもあまりにも劇的にその情景を画面に表現しつくそうとしているのです。
私が、ウィーンで初めてクラーナハの絵を見た時に、一発でとりこになったのは、(とても比較にはなりませんが)イラストの一枚の中に、女性のエロい姿と表情をどのように「置く」かによって、シチュエーション的にフェチな興奮を味わいたいという、自分がやってきた企てにものすごく通じるものを彼の絵に感じたからでした。
あまりにも画面は静かです、声も、衣擦れの音すら聞こえてきません。
そして息づかいや体温すら感じられません。
でも、脳と目だけは確実に何かを感じ、訴えているのです。
正直、すごいなと思いました。
桁外れの写実力をもって、現実にはない幻想と伝説の1シーンを、限りなく「客観的」に演出しきっているのです。

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その究極作品は「ユディット」でしょう。旧約聖書に出てくる女性。町を占領した敵将を篭絡し、その首をとって町を救った女性の話をモチーフにしています。(写真は展覧会出口にあった、記念写真用のタテカンです。なんとユディットの顔と「生首」の両方がスライドして穴になり、そこから顔をだして撮れるようになっています。あまりに縁起悪そうなのでやりませんでしたがw)
その表情には、恐怖も、憂いも、喜びも、悲しみもありません。
剣と生首を手に、ただ無表情でいます。まるで主張的中立を貫く古代の壁画絵のようです。
でもだからこそ怖さとすごみがにじみ出ています。
「キャー、やった~!」でも「恐ろしい事をしてしまった」でもない、あまりにも淡々とした女性の表情。
すごい演出ですが、しかし、これを見てしまうと、ユディットはこれしかないのでは?とさえ思えるようになってくるから不思議です。

数十年前に、まだクラーナハという画家をほとんど知らなかった頃に、オーストリアのウィーン美術史美術館でこの絵を初めて見た時、本当に魅入られたかのようにこの絵の印象が脳にきざみつけられました。
「クラーナハすごい」・・・それ以来、ヨーロッパの美術館に行くたびに彼の作品を探すようになりました。
そして今回、修復をへて少し血色が良くなったユディットをはじめ、えりすぐりの代表作の数々をこうして日本に居ながらにして観ることができて、本当に幸せな気分でした。

外国の美術館では、細かいキャプションにまで「日本語版」はないことが多いので、こうして日本の展覧会で見ると、細かい絵の背景なども日本語で書いてあって、それを読むのも楽しいです。
クラーナハというのは、画家としては大変成功した人だったそうです。
若いうちから才能を認められ、ザクセン選帝侯の庇護のもと、「商売」として絵を描き、売りまくりました。
やがて「工房」を構えて絵画職人を雇い、「クラーナハ印」の絵画を多量生産して事業を拡大。
さらに関連グッズなども製作販売して、経営者として手広く成功を収めています。
やがて財界や政界にも影響を持つようになり、市長も歴任したほどでした。
宗教改革の大きな後ろ盾になったことは、前述のとおりです。

やはりあの作風は、当時の人たちにとっても鮮烈で魅力的だったのでしょうね。
今で言えば・・・
行列のできる壁サークルで、あまりに同人誌が売れるもんだから、自分で印刷所まで創設・・・
やがて同人誌ばかりかグッズも飛ぶように売れ、コミケでは12時過ぎには札束を段ボール箱に押し込んで打ち上げ会場に向かう・・・
一方で絵師仲間からの人望は厚く、人脈と資金力を駆使して「表現規制派」の政治勢力などとも果敢に戦う・・・
そんなスーパー神絵師的な存在だったみたいで、そういうバックボーンを知れたのも、また日本の展覧会ならではで楽しかったです。
まあ、ドイツやウィーンの美術館を巡るために、ドイツ語はかなり勉強はしたのですが、さすがに専門的な美術史用語を読み解くほどの語学力はなかったものですから・・・。

ただ、今回の展覧会で一つ気になったのは、「関連作品」・・・つまりはクラーナハにちなんだ別の作家の作品や現代のオマージュ作品などを、会場にまだらにまぜて展示していたことです。
はっきり言って、緊張感がそがれるんですよね。
それはそれでいい作品もありましたが、クラーナハにどっぷりはまっていたい気分を害されたのはいささか不本意ではありました。
クラーナハの絵を見て、また欧州の美術館に行ってみたくなりました。
このところ世界情勢が物騒なので、かつては毎年出かけていた海外も、ここ数年は手控えています。
でも、できれば今年、またヨーロッパに行きたいと考えています。
やはり、ウィーンがいいかな。またザッハトルテも食べたいし。
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katsuo8740

Author:katsuo8740
コスチュームフェチサイト「カツオ私設ギャラリー」を主催するカツオの近況報告スペースなので、一応「アダルト」ジャンルではありますが、メインはアニメ(その他)関連のよもやま話(独善的「語り」)です。

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