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「けものフレンズ」の世界観

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4月に入り、アニメ番組も一斉に改変期となりました。
今年1~3月期のアニメを振り返ると、例年になく豊作であったという印象が強いです。
キーワードは「意外性」でしょうか?

定番の魔法少女か美少女戦士系の作品かと思いきや、ことのほかガチのハード展開だった「よう女戦記」。
これまた定番のおしかけハーレムものかと思いきや、異界と人間界の女子ばかりが同居して暖かい家庭を形成してゆくほのぼの展開の「小林さんちのメイドラゴン」。
原作を知らない視聴者にとっては、放映開始時の印象を裏切る展開が共に心地よく、高いテンションを維持し続けた作品だったと思います。

しかしなんといっても特筆すべきは、ネット界隈では「大化け」「逆転満塁ホームラン」とまで評された「けものフレンズ」の大躍進があるでしょう。
今回は、この謎の人気アニメ「けものフレンズ」についての私個人のレビューと考察を書いてみようと思います。
なお、以下の内容にはかなり多くの「ネタバレ」を含みます。もしこの作品をこれから鑑賞する予定の方がおられましたら、鑑賞終了まで以下の記事は読まないことをおすすめします。

けものフレンズの原作はソーシャルゲームです。
艦これのように動物の擬人化キャラ「フレンズ」を集めながらバトルしてゆく、美少女コレクション系のゲームだったそうです(私はプレイしてないので)。
ただ、それほど爆発的な人気にはならなかったらしく、アニメ放映開始時にはゲームのサポートは終了していて、オタク筋では「死に体のアニメ化」と評する声もありました。
しかし、アニメの2話、3話、4話あたりから、ツイッターをはじめとするソーシャルネットにおいて、にわかにこのアニメの話題が飛び交うようになりました。
キーワードの登場頻度は記録的な勢いで急上昇し、当初このアニメを観ていなかった人たちや、録画はしてたけどまあいいかと思っていた人たち(かくいう私もその一人)が急に気になり始めて、一斉に録画やTVを見るようになりました。

なにかの「仕掛け」であったとしても、これほどのインパクトを「さくら」で巻き起こすのは不可能であり、根本的には作品の内容とキャラの魅力がネット民を中心とする多数の人たちの心をわしづかみにしたのが大きかったと考えざるを得ません。
最終的には、火曜日深夜1:35は3大都市圏を中心にアニメ好きにとってのゴールデンタイムとなり、全裸待機でリアタイ鑑賞する人の割合は、近年の深夜名作の中でも飛びぬけて高かったと言われています。
アニメ放映時間からその数時間は、ツイッターなどのトレンドが「けものフレンズ」関係で完全に埋め尽くされてしまう状況を見ても、この作品の人気のすさまじさがわかります。

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この作品の魅力を一言で言えば、キャラの愛らしさと物語の底流にある不穏さとのギャップ、と言えると思います。
動物が人間化した「フレンズ」という生物ばかりが暮らす島「ジャパリパーク」。
何かのテーマパークのようですが、そこには案内ロボットの「ラッキービースト」がいるだけで人類の姿は全くありません。
しかしある日、突如としてヒトの少女「かばんちゃん」が現れ、彼女は最初に出会ったサーバルキャットのフレンズ「サーバルちゃん」と共に、ラッキービーストの「ボス」に助けられながら「自分探し」の旅を始めます。
かばんちゃんは過去の記憶がなく、自分が何のフレンズかもわからなかったからです。

「図書館」を目指す3人(3匹?)は、サバンナ、ジャングル、高山、砂漠・・・など、さまざまなエリアを抜けながら、多くのフレンズたちに出会い、様々な困難をサーバルちゃんの身体能力とかばんちゃんの知恵で乗り越えてゆきます。
なにかとても心地よく、ほのぼのする冒険ストーリー。
でも、「観客」として見ている我々には、かばんちゃんが人間であることがわかっている一方で、彼女以外の人間は?文明は?人類社会は?どうなってしまったのかという世紀末的な不安感がつきまといます。
冒険と謎解き、そして動物の習性や形態に結構忠実に、しかしすごくかわいく造形されたさまざまな「フレンズ」たち・・・私もひさしぶりに「こんな面白いアニメ、見たことない」と感じてしまいました。

ここからは「けもフレ」ファンの皆様向けのお話になります。
フレンズとは?ジャパリパークとは?という命題に関して、実に様々な解釈がネット上でも飛び交っているみたいですが、そういったものは一切読まずに、ここでは私なりの考察を書いてみます。
火山から飛び出した透明クリスタル状の「火山弾」に当たると、動物はフレンズ化します。そういったシステムを人類が設置したのだと思います。
しかし何らかの理由でこのシステムに不具合が生じ、危険となったので人類はこの島を放棄して撤収してしまった・・・そこまでは話の中でも語られていました。

想像にたよらなければならない問題は大きく2点。
①ジャパリパークとはそもそも何のための施設だったのか?
②人類がこの島を放棄していったいどれくらいの年月がたったのか?今なお人類は存続しているのか?

まずシステムの不具合ですが、火山弾が無生物(無機物、あるいは遺伝情報を含まない有機物等)に当たると、セルリアンという怪物風の生物が発生してしまい、しかもこのセルリアンはフレンズを襲って食べる習性を持っているというのです。
ただし、食べられたら死ぬのではなく、フレンズ化する前の元の動物の体に戻り、記憶も知識も失われてしまうとのことです。
火山の火口で火山弾の生成を制御していた「フィルター」の位置がずれていたことがその原因で、かばんちゃんたちは後にその原因を修正しています。
ただ、私が思うにはセルリアンの異常発生や巨大化は問題だったかもしれないけれど、セルリアンというシステム自体は、あらかじめ準備されていた、必要なシステムだったのではないかと思うのです。

ジャパリパークが設置された当時、すでに人類のみならず地球の生態系そのものが危機に瀕していた(リアルに現代の地球のように)のではないかと思います。
ジャパリパークは、人類が失われつつある野生動物たちと「フレンズ」という形で安全に触れ合えるテーマパークという側面だけでなく、絶滅に瀕した多くの地球上の動物たちを集め、保護し、再繁殖させるための「ノアの箱舟」だったのでは?と思うのです。
火山弾は動物そのものだけでなく、その遺物(遺伝子を含む毛や皮膚など)に当たっても、その動物のフレンズを作ることができます。
事実かばんちゃんは、かつてパークから去った女性の帽子が島に残っていて、そこについていた髪の毛に火山弾が当たって「ヒトのフレンズ」として生み出されたものでした。
つまり毛一本あれば、その動物のフレンズを作り出せるのです。
すでに絶滅した動物でも、その毛皮が残っていれば、その動物のフレンズを作り出せます。
ただし「交配によらない生殖」なので、生まれてくるのはメスばかりとなります。これは、単為生殖(メス単独で子孫を残す)を行うハチやミジンコなどでは、単為生殖をする場合は必ずメスしか生まれてこないという原則に合致します。
ジャパリパークは、絶滅危惧種や絶滅動物を一時的に「フレンズ」という形で甦らせ、数を増やすための「保護増殖」施設だったのではないかと思うのです。

しかし、そのままではフレンズばかりが増えてしまいます。
もし究極的な目的が地球の生態系の復活であるならば、増えたフレンズは元の動物にもどしてやる必要があります。
そのためのシステムがセルリアンだったのではないかと思うのです。
作中、髪の毛から生まれたかばんちゃんは、セルリアンにのまれた後、「髪の毛」には戻らずに「元の動物」である人間に戻っています。
これを応用すれば、絶滅動物の髪の毛をパークに置いておけば、まずフレンズが生成し、その数が増えればセルリアンによって元の動物に戻すという流れが実現します。
ずっとフレンズでいたいと願う彼女たちにとっては迷惑な話ではありますが、本来の人類の意図はそこにあったのではないかと思えるのです。

もちろん、雄はどうするのか?など課題も沢山ありますが、ひょっとしたら別の島には雄を生成するシステムも存在しているのかもしれません。

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そして第二の問題は、かばんちゃん以外の人類が全く姿を見せないことです。
過去の映像としてみらいさんという女性が登場しますが、彼女が生きていたのはいったいどれくらい前なのか?
10年?100年?1000年?・・・パークの人造物の朽ちた感じや、ペンギンアイドルが何代も代替わりしていることなどから考えると、かなりの時間が経過していることが想像できます。
島を放棄した人類が、依然として島に戻らないのは、人類そのものも危機に瀕していてそこまで手が回らなくなったか、あるいはすでに絶滅してしまったか、です。
善意に考えれば、島の危険度が高いという判断で立ち入り禁止になっていて、人類文明はちゃんと隣の島や大陸で機能していて、みらいさんもまだ存命・・・ということもあるとは思ういます。
しかし、例えば火山の中腹に転がっていたステルス爆撃機の残骸とか、すごく終末感をあおる演出だし、物語の終始一貫して、海上の船舶や上空の飛行体が全く目撃されないことなども、終末的な状況を予感させずにはおれません。
最終回で隣の島に旅立ったかばんちゃんたちですが、映画「猿の惑星」のようなラストにならないことを祈るばかりです。

お話はどうやらつづくみたいなので(ラストシーンで隠し文字のように「つつく」って書かれていたので)、2期以降の展開が待ち遠しいです。

11話で、サーバルちゃんを助けるためにまるで獣のようなすごい動きを見せたかばんちゃんの成長。
そして、最終話でかばんちゃんを助けるために、不器用な手で一所懸命紙飛行機を折った上に、怖いのを我慢してそれに火をつけて飛ばしたサーバルちゃんの勇気。
ほんと、あのシーンは泣きました。

まあ、人類がどうの、文明がどうのよりも、かばんちゃんもサーバルちゃんも本当に良い子たちなので、いつまでも仲良く楽しく過ごしてほしいな・・・というのが最大の願いであり、それを見届ける2期であってほしいなと切に願っています。

<余談その1>
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サーバルちゃんもかばんちゃんもかわいいけど、なんといっても私のお気に入りはアルパカさん。
独特のイントネーション。落胆すると唾を吐くというギャップ感。田舎のおばあちゃんのような包容力。本当にアルパカさんが好きすぎて、3話は何度も見返しています。

<余談その2>
島の長(おさ)を自称するミミズク系の「博士」と「助手」。最終回は格好よかったけど、案外抜けてるところもあって、「私たちは賢いですから」という決まり文句にも「ほんまか?」と突っ込んでしまいます。
実のところこの島で一番賢いのは、ツチノコではないかと思います。一瞬にして「毛髪からのフレンズ化」を理解していたし、パーク稼働当時のコインとか娯楽システムなどにも精通していたし。
まあ、限りなく架空に近い動物なので、ひょっとしたら人類がいたころからの悠久の記憶を保持しているのかもしれません。彼女の「ヒトは滅んでなかったのか」というつぶやきはあまりにも意味深でした。

<余談その3>
社会現象となりつつあるけものフレンズ。その一つの表れが、アニメ放送以来「動物園」に行くアニメ好きが増えたとのことです。作中でもCM前後に各地の動物園の飼育員さんによる解説があり、生物学的な興味もあわせて、リアルな「フレンズ」たちに会いに行くというのが、ある種の「聖地巡礼」的な盛り上がりを見せているそうです。
つい先日、私もTVで「神戸動物王国」のCMをみましたが、けものフレンズの人気キャラ「ハシビロコウ」がいきなり「じ~」という感じで登場したり、魚とりが得意な野生ネコでサーバルやマーゲイの近縁種でもある「スナドリネコ」をアピールしたり、結構「けもフレ」を意識しているように感じたのは私だけではなかったと思います。
動物園の動物たちは、入園者の入園料で食べています。ぜひこの機会により多くの方々に動物園を訪れてほしいと願っています。
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Author:katsuo8740
コスチュームフェチサイト「カツオ私設ギャラリー」を主催するカツオの近況報告スペースなので、一応「アダルト」ジャンルではありますが、メインはアニメ(その他)関連のよもやま話(独善的「語り」)です。

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